東野圭吾著 『祈りの幕が下りる時』

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 連休前にいつものように帰りに書泉へ寄った。ここのところ毎日寄っている。もっとも今の書泉は昔から比べればまったく魅力はないのだが、それでも多少は新刊の情報は得られるので寄っている。まぁ駅へ向かう道だし、寄り道というほどでもないので、一階の新刊コーナーを見て、何もなければそのまま店を出る。
 しかしこの日は、東野圭吾さんの新刊を見つけてしまった。しかも加賀恭一郎シリーズ新刊だ。これは買わなければとすぐ手に取る。
 私はいくつか楽しみにしているシリーズがあるが、この加賀恭一郎シリーズもその一つだ。『新参者』以来ファンになり、それまで出ていたこのシリーズをまとめて読んだものだ。
 もっとも昔の本はそれほど面白いとは思わなかったが、『新参者』『麒麟の翼』は確かに“面白い”と思ったものだ。そのシリーズの新刊である。

 これは連休が楽しみだ。

 ただ連休は孫が遊びに来るので、本を読んでいる暇はないと思われるので、連休最終日に堪能しようと思っていた。幸か不幸か、大型の台風も来ているので、出かける必要もないわけだから、じっくり読める、と算段する。
 しかし連休中日に孫が帰ってから、待てずに読み始めた。やっぱり面白い。一気にページが進む。
 途中台風の進路も気になるので、テレビをつけたりする。臨場感を出すためか、わざわざ風雨の強い外に出て、レポーターが実況中継をしているが、ご苦労なことだと思いつつ、画面を眺めていた。
 昼前、一番台風が関東に近づいた時にちょうど読み終えた。

 ここでは話の内容には触れないが、ただ捜査中に加賀恭一郎の例の言葉が出てくる。


「俺たちは大事なものを見落としていたのかもしれない」


 この言葉が出てくると事件の真相が思わぬ展開に進んでいく。そして悲しい事件の真相が明らかになっていく。やっぱり面白かった。
 ところで物語とは関係ないが、原発の作業員をやっていた犯人の父親の同僚が語る言葉が印象的だった。


 「原発はねえ、燃料だけで動くんじゃないんだ。あいつは、ウランと人間を食って動くんだ。人身御供が必要なんだよ。わたしたち作業員は命を搾り取られてる。わたしの身体を見りゃあわかるだろう。これは命の搾り滓だよ」


 我々は東日本大震災の津波による原発事故を経験しなければ、科学の万能を信じ続けていたし、その維持に命をかけている人たちのことなど、関心も寄せなかったに違いない。たぶんこの言葉もスルーしていたかもしれないな、と思ったのであえて書き出してみた。





東野圭吾著 『祈りの幕が下りる時』 講談社(2013/09発売)
Commented by 藍色 at 2015-07-21 14:33 x
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by office_kmoto | 2013-09-17 05:47 | 本を思う | Comments(1)

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