写真 その2

 昔の写真を整理してこなかったことを棚に上げてものを言うわけではないが、数多くの写真の中に“お宝”が埋もれているのを見つけると、おお~、となってしまう。こんな写真があったんだ、としげしげと眺めてしまう。
 あった写真は大学時代の私の部屋の写真である。当時から本に囲まれて生活することにご満悦だった私は、部屋中の壁に本棚を置き、そこに本を並べていた。写っている写真には、生まれて初めて買った五木寛之全集や、森有正や高橋和巳全集など並んでいる。あの頃よくわからなくても、一生懸命これらの本を読んでいた。それらの全集は今はない。

 別の写真は、私が会社を辞めるとき、事務所を整理していた頃に見つけた写真である。あのとき私は第三合同庁舎の本屋の店長をやっていた。わずか十坪ばかりの小さな本屋であったが、品揃えはみんな私がやったもので、言ってみれば別の私の本棚みたいなものであった。
 さらに異動で会社で一番大きな本屋に移り、二階のビジネス書と文庫、コミックを任された頃の店の写真だ。棚の品揃えを見ると、低迷していた店の売上げを挽回し、それが軌道に乗り始めたころの写真だと思う。あの頃は何をやってもうまく行き、好き勝手なことをやっていたこともあって、楽しかった。

 まあ、かなり天狗になっていたことは事実で、我ながら自信過剰だったんだな、と当時のことを思い出すと、呆れてしまう。でも、一応結果は出していたから、過剰気味であったにせよ、仕事に自信を持っていた。
 いずれにせよ、全て昔のことで、単に私の一時代の話である。写真はそれを物語っているに過ぎない。それにもうどうでもいいことだ。
by office_kmoto | 2014-03-26 05:49 | Comments(0)

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