森 まゆみ 著 『「谷根千」地図で時間旅行』

d0331556_4324876.jpg いわゆる江戸開幕以来の谷根千のいろいろな地図を使って、この地域の変遷を語っている本である。森さんにとってはホームグランドであるから、説明が詳細だ。ただやはりここの地形、建物など詳しく知っている人でないと感慨はそれほどわかないのではないか。私など読んでいて、ふ~ん、といった感じで読んでいた。それに仕方がないとはいえ、やはり地図が小さい。だから本文で説明されているところを探すのに苦労してしまう。
 小さいけれど地元で暮らしてきた人たちの手書きの地図はいい味を出している。こういう昔の記憶をたどって地図を書いてみるのも面白そうだ。ふと自分も子ども頃のことを思い出して地元の地図を書いてみようかな、と思った。書いているうちにきっと面白いことを思い出しそうだ。
 時々散歩のとき、ここは昔○○だったような、と思いながら、まったく様相を変えてしまった通りを歩いていることがあるので、是非やってみたい。

 やはり私の興味は森鴎外の『雁』に注がれる。森さんは言う。


 それにしても『雁』には明治一三年の東京がなんと美しく描かれていることだろう。坂があり、池があり、街があった。まだ車も市電も走っていない。どこに行くのも歩いて行く時代だった。だからこそ見えるものがあり、起こりえることがあった。
 それを地図で照らし合わせてみていくと、自分があたかも明治に飛んだようにすら感じられる。


 確かに岡田はよく歩いている。その道筋を地図で追ってみると、この辺りを歩いていたんだな、と思う一方で、神保町方面まで歩いて行くことが、散歩なのか、と思ってしまう。
 
 ところでこの本は図書館で借りた本を読んだ。本を開くとページが割れる。最初これ製本が甘いのかな、と思った。だってこの本出版されたのが、去年の7月である。いくら図書館で借りられる本とはいえ、それほど時間が経っていないのに、これじゃ後が大変だな、と思ってしまった。しかしページをめくると、赤糸が見える。つまり赤糸で綴じられている。糸綴じだ。図書館の本だから表紙が剥がせないが、背表紙を上から見てみると、和本みたいな綴じ方になっている。背なしコデックス装である。なかなか洒落ている。これのお陰で見開きの地図がきれいに開いて見ることができた。


森 まゆみ 著 『「谷根千」地図で時間旅行』 晶文社(2015/07発売)
by office_kmoto | 2016-03-07 04:35 | 本を思う | Comments(0)

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