山口 瞳 著 『展覧会の絵』

d0331556_616138.jpg この本の「花見の会」に次のようにある。


 春というのは、体を動かしてみたいという気になってくる。特に、私など、冬は家でじっとしているので。


 これ今の私と同じである。やっと春になったので、やたら庭いじりをしている。(これを書いたのは春先)今年は庭の土がか細くなっていることに気づき、その補填をここのところやっている。これも冬の間、早く春にならぬか、と思いつつ過ごし、何も出来ずに庭を眺めながらあれこれ考えたことであった。
 とにかく昨年の冬は長く感じた。だから今、うれしくて仕方がない。木々のために、あれこれやっている。


 私は、植木は正直だと思った。心が通ずるように思った。優しくすれば、間違いなく御礼が返ってくると思った。こういう点は、動物と変わることがない。(怪奇館)


 そうすればきっときれいな花を毎年咲かせてくれるに違いないと思いつつ。
 それにしても一日があっという間に過ぎる。それなりに忙しいのだ。会社勤めの時も時間に振り回されていたが、これはストレスばかりたまるばかりで、今の忙しさとはまるっきり性質が違う。ただ同じ一日ではあるがどちらも満足して過ごした一日はそうそうない。


 一日過ごして、まあ、一日と言ったって何程のことも出来ないなあと呟くだけのことである。(銀杏の頃)


山口 瞳 著 『展覧会の絵』 男性自身シリーズ 15 新潮社(1980/01発売)
by office_kmoto | 2016-07-03 06:22 | 本を思う | Comments(0)

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