平成28年8月日録(上旬)

8月1日 月曜日

 曇りのち晴

 嵐山光三郎編『山口瞳「男性自身」傑作選 熟年篇』を読み終える。午後から中薗英助さんの『北京原人追跡』を読んだ。

 ファイルをUSBメモリーに保存しようと思い、そのUSBメモリーに何が入っているのか見たら、サラリーマン時代の最後に作ったデータファイルがそこにあった。
 ここのところこうしたサラリーマン時代のものがひょこっと出て来る。先日は交換した名刺だった。もちろん両方とも必要ないので削除したり、捨てたのだが、あれだけ仕事を辞めるときに処分したのに、まだ出て来る。

 自分の会社の身売りが決まり、それまでせっせと整理してまとめてあった資料や書類をシュレッダーにかける毎日が続いた。それこそ私が会社の事務職に就いた頃からの資料や書類なので、厖大な量であった。仕事柄個人情報もかなり含まれていたので、それこそ毎日シュレッダーにかけていた。相手に引き継ぐ最低限の資料や書類だけを残して、データファイルもハードディスクを物理的に壊した。
 これだけ資料や書類、データを破棄すれば相手は困ることもあるかも知れないと思ったが、意識的に破棄した。困らせてやろうという気持ちもどこかにあった。そして私がこの会社に提出した30年以上も前の履歴書も人事ファイルから抜き出して持ち出した。自分の痕跡など残したくなかったからだ。辞めていく人間のデータなど相手方には必要あるまい、と思ってもいた。
 長いこと会社勤めをしていると、会社のものと個人のものが区別つかないものが結構出て来る。あるいは個人のものを会社に持ち込んでいたりもする。そんなものを辞めるまでにコツコツと家に持ち帰って来たが、USBメモリーのデータ、名刺入れに入っていた名刺もその一部であったのだろう。


8月2日 火曜日

 午前中雷を伴うゲリラ豪雨。

 まったく今年の夏はいったいどうなっているんだ。夏らしい太陽が照りつけて暑いという日がない。暑いことは暑いのだが、それは湿気による蒸し暑さだけだ。夕方散歩に出かけても肌にまとわりつく暑さで、歩いていてもちっとも気持ちよくない。むしろ変にバテる感じだ。気持ち悪くなる。
 とにかく天気がはっきりしないので、サツキの消毒も出来ずにいる。明後日あたりから天気は好くなるというからそれまで待つしかあるまい。


8月3日 水曜日

 曇り時々晴。

 永井龍男さんの『雑文集 夕ごころ』を読み終える。私が持っている永井さんの本はあと1冊となり、それを続けて手にする。
 読んでいて、こういう素直な文章ってものすごく憧れる。どうしたらこんな文章が書けるのだろう、と思ってしまう。才能のない己を自覚するのみ。


8月4日 木曜日

 晴れ。

 やっと夏らしい陽がガンガンに照りつけた。サツキの消毒がやっと出来た。

 永井龍男さんの『雑文集 花十日』を読み終える。これで手元にある永井さんさんの本は全部読み終えたことになる。山口さんの「男性自身」を全部読み終えたように、少しずつ自分が読みたいと貯めこんだ本が消化される感じがする。けれどそれは機械的に消化しているというわけじゃない。サラリーマン時代のように空いている時間をフルに使って本を読むというせわしさの中での読書と違い、時間をかけて十分味わって読むことが出来ている。もちろんそれは仕事を辞めているから出来ることだが、そういう意味では有難いことだと思う。
 永井さんの『石版東京圖繪』のことを書くに当たり常盤新平さんの本を図書館で借りてきた。もちろんこの本は一度読んでいる。でもその章だけを使うために本を借りているのも申し訳ないので、再読することにした。
 そういえば一度読んだ本をもう一度読み直すことも出来るようになった。これも有難いことだ。


8月5日 金曜日

 晴れ。

 朝起きると、朝顔が咲いている。以前と比べて花の数はだいぶ少なくなってきている。咲き終わったところには種が出来ているのだろう、ふっくらとふくらんでいるところもいくつかある。
 サツキにセミの抜け殻がいくつも付いている。地面にはぼこぼこと穴があいている。そこから出てきて枝の先まで行って、羽化したのだろう。
 朝庭掃除をしていると、羽化しかねたセミを見た。一匹は羽が一枚なかった。奇形だったのかもしれない。もう一匹は羽化したものの地面に落ちてしまったようで、そこにアリが集まり始めていた。二匹とも隣の雑木林の木に移してやったが、果たして生きのびられたかどうか。
 今朝はクロアゲハが大きく羽を広げて休んでいる。カマキリの子供も見た。小さいくせにイッチョマエに威嚇する。それと本当に久しぶりに糸とんぼも見た。どこから来たのだろうか?しばらく見ていたら、そのうちどこかへ飛んで行ってしまった。
 狭いながらも庭には様々な生き物がいる。オケラも見かけた。地面に穴が開いて、何かいそうな感じがして、掘り出してみるとオケラであった。昔子供の頃、オケラを捕まえて手を広げるのを見て、「お前のちんちんどれくらい」なんて歌っていたっけ。
 お隣からもらったサギソウが本当に8月10日に咲きそうな気配だ。どんな花を咲かせるのだろうか。

 常盤新平さんの『東京の片隅』を再読する。この本は昨日書いた通り“資料”として再度借りた。でも借りた以上ちゃんと読まないと、と思い読んでみた。いい本である。
 ここに出てくる町の名前は私の地元だし、お茶の水、神保町は大好きな町だから、ふんふんと言いつつ読んでいた。常盤さんは昔ながら喫茶店の愛好者だから、そこの書かれる雰囲気は読んでいると懐かしい。
 ところで私は今、コーヒーを止めている。飲まなくなって1週間になるか。1週間も一滴もコーヒーを飲まなかったということは、高校時代から飲み始めて、多分初めてである。
 逆流性食道炎にはコーヒーは好くないらしい。医者に通っても、毎食後薬を飲んでいても、一向に症状が改善しない。
 一方昔あれほど飲んでいたコーヒーが最近それほど飲みたいと思わなくなってもいた。コーヒーを飲めば必ず胃の調子がおかしくなってくる。だから朝だけミルクたっぷりのカフェオレを二杯ほど飲んでいたが、それを止めて牛乳にしている。(牛乳も脂肪が気になるので低脂肪のやつにされている)
 それでコーヒーを止めてみると、確かなことは言えないけれど、少し症状が改善しているような気がする。今はそれほど飲みたい思わないのだから、多少残念な気もするけれど、このまま止めようと思う。
 アルコールも良くないという。けれどこう暑くちゃ、ビールも飲みたくなる。今日は缶ビールを買ってきた。まあほとんど飲まないのと同じなのだから、たまにはいいだろう。何でもかんでも駄目としてしまうと、何のために生きているのかわからなくなる。それに今ごろ節制しても、無駄とは言わないけれど、あまり意味もなさそうな気がする年齢だし、まあ日々の生活に支障があることだけは止めようとは思う。少なくとも長生きするために節制するというのは嫌だ。

 そうそうサギソウが一輪花が開く。


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朝方いつものように庭掃除をして、今日は暑くなりそうだから、せっかく蕾も持っていることだし、ということで部屋に入れたら、午後蕾が開く。その花の姿を見て、まさしくこれはサギに似ていて、びっくりした。サギソウとはうまく言ったものだ。


 私の卒業した小学校の校歌は「富士の嶺はるか 潮の香におい 白さぎとびかう」とあった。私が小学生の頃は確かに白サギが田んぼやハスの畑に飛んできていた。
 ところで小学校、中学校、高校、大学とそれぞれ校歌があったがまともに歌えるのは小学校の校歌だけだ。高校などまったく思い出せない。もっとも高校時代、校歌を斉唱する場は必ずと言っていいくらいいなかったから当然かもしれない。(要するにふけていた)大学は「おお~めいじ」のところだけ。まあどうでもいいことだが・・・・・。


8月6日 土曜日

 晴れ。

常盤新平さんの『いつもの旅先』を再読する。以前にも書き出したがまた書く。

 何か屈託があったのだろう。屈託というのはいくら年をとっても、つぎつぎと生まれてくるようだ。それが頭にあると、ひとりごとを生む。


 私の場合、ひとりごとがこうしてブログに書いている。


 今年も昨年とあまり変わりばえしなかった。元気ならそれでいい。私にとっては、きょうもきのうのつづきである。


 これも以前書き出した。まったくその通りだ。今日は昨日の続きとはいい言葉だ。

 サギソウがもう一輪咲いた。なかなか可憐な花だ。


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 リオオリンピックが開幕した。


8月7日 日曜日

 晴れ。

 今日も暑い。何だか今年は暑さがこたえる。歳のせいか?少々夏バテ気味なので、図書館に本を返しにいくだけで、一日じっとしている。

 池波正太郎さんの『原っぱ』を読み終える。


8月8日 月曜日

 晴れ。暑い。

 色川武大さんの『いずれ我が身も』を読み終える。

 一日中本を読んでいると、夕方など目が疲れてくる。昔はこんなことなどなかったが、やはり歳をとると、だんだん昔で来たことが出来なくなってくるのがよくわかる。仕方がないので早めにベッドにもぐり込む。


8月9日 火曜日

 晴れ。

 今日の東京の最高気温は37.7度という。たぶん今年一番の暑さだろう。朝から窓を開けてみるともわっとした空気を感じていたので、これは今日は予想通り暑くなると感じた。

 少々夏バテ気味なのは解消していないので、今日は何もせず一日家にいる。


8月10日 水曜日

 晴れ。

 半村良さんの『小説 浅草案内』を再読する。
 最近本を読み直すことをよくするようになったが、改めて読み直してみると、最初は何を読んでいたんだろう、と思うことがある。初めに読んでいい本だなあ、と思った本をもう一度読み直してみると、違う顔を見せてくれ、その奥深さを改めて感じることが多い。最初からつまらないといった本は改めて読もうなんて気にはならないが、その時何か感じるところがあれば、もう一度読み直すというのもありなんじゃないか、と思ったりする。


8月13日 土曜日

 晴れ。

 お盆なので義父の墓参りに行く。
 図書館で予約してあった本が届いたというので、借りに行く。

 山本周五郎の『青べか物語』を読み終える。


8月14日 日曜日

 曇り時々晴れ。

 相場英夫さんの『ガラパゴス』上巻を読み終える。

 朝窓を開けるとだいぶ涼しくなってきた。一時のもあっとした空気が心なしかひんやりしている。朝の空気の感じで今日は暑くなるなあ、と思っていたのが、今日はいくらか過ごしやすい日になる予感をさせる。多少夏バテ気味なので助かる。
 百日紅の花が散って庭にピンクの花が散らかっている。朝顔は終わったようだ。ぷっくりとした種が見えている。
 わが家の庭は秋の花がない。四季折々何か花があればいいのだが、猫額亭にはもう花を植える場所がないから仕方がない。冬のシャコバサボテンの花が咲くまで待つしかない。今年はシンビジュームは花を咲かせるだろうか?テキスト通り管理してきたけど、雰囲気的に花を咲かせる気がしない。難しいものだ。
 そうそう去年出来たシクラメンの種を蒔いてもうすぐ1年になる。すくすく成長して、暑い夏を何とか越せそうだ。今年は花は無理かなあ。


8月15日 月曜日

 曇り。

 相場英夫さんの『ガラパゴス』下巻を読み終える。
by office_kmoto | 2016-08-16 05:56 | Comments(0)

言葉拾い、残夢整理、あれこれ


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