清水 義範著 『夫婦で行く意外とおいしいイギリス』

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 このシリーズももう何作目なのだろう。ずっと付き合って来ている。夫婦で行くツアー旅行なのだが、この紀行文の特色はツアー旅行ということだ。旅行会社で企画されたツアーに参加する。ここがひとりよがりの旅行を記したものとは違う。ある意味親しみやすい。それでもしっかりと現地を体感し、その後しっかり国の歴史を調べ、本文を肉付けしていく。調べられた歴史をきちんと読めば、世界史の勉強にもなる。
 さて、今回はイギリスだ。書名にもあるように、イギリスの料理はまずいというのが定評である。清水さん夫婦はそのイギリス料理を次のように分析する。

 料理の味は、キリッとしたところのない感じであるが、決してまずくない。どちらかというとほんわりした味で、塩気があまりない。テーブルの上に塩と胡椒が置いてあるから、それを振って食べるのだが、要するに下味をつけていないのだ。下味をつける、という概念を学ぶといいのに、と思った。

 「腎臓病の人の病院食みたいなのよね」

 と清水さんの奥さんは案外辛辣なのだ。旅行の楽しみの一つは、やはり食事となるだろうから、このあたりは清水さん夫婦もしっかりと味わい、その感想を述べる。

 どちらかといえば薄い味つけだ。やさしい味といえるだろう。相変わらず付け合わせは野菜のボイルだ。イギリス人は野菜を見るとやたらボイルしたくなるのではないだろうか。それしか料理方法を知らないのか、と言いたくなるほどだ。

 それでも14日のイギリス旅行をする内に、その料理に舌が馴れてくる。これでもいいかも、といった感じだ。
 この本の解説を井形慶子さんが書かれているのだが、井形さんと言えばイギリスである。イギリス料理について次のように書く。

 これまで味覚との折り合いがつかないままだったが、イギリス料理を食べ続けるうちにとてもおいしいと思ってしまったのだ。これがイギリス料理の底力かもしれない。

 そして最後のロンドンで食べたフィッシュ&チップがとても美味しかったと書く。
フィッシュ&チップとはタラのフライに、ポテトフライを添えたもの。イギリスではファストフードとして親しまれているらしい。清水さん達はレストランで食べているが、本来は立ち食いである。
 開高健さんがこれを食べている時、フィッシュ&チップを包む新聞はタイムズみたいなお堅い新聞で包んでは美味しくない。これを包むのはエロ新聞、ゴシップ新聞に限ると書いていたはずだ。そういうざっかけな食べ物だから、タイムズは合わないらしい。

 ところで清水さん夫婦は大英博物館へも行っているのだが、大英博物館は、

 入館料無料で写真撮影もOKだ。写真が自由に撮れる博物館は珍しく、太っ腹だなあと驚いた。

 と書いている。いいなあ~。こういうの。

 清水 義範著 『夫婦で行く意外とおいしいイギリス』 集英社 2016/08発売)集英社


by office_kmoto | 2017-12-22 16:58 | 本を思う | Comments(0)

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