常盤 新平 著 『銀座旅日記』

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 常盤さんのエッセイを読むのは久しぶりだ。短い文章はテンポを生み、読んでいて心地良い。自分でも書く文章はこうありたいといつも思う。自身はただ書きたくて書いているものだから、気持ちが先走り、つい文章が長くなる。だから読点を乱用する。常盤さんの書く文章を見本にしたくなる。なんといっても文章の短さは、わかりやすい。
 この本は常盤さんの日常生活が日記体で描かれる。その交友は本当に親しいと思わせる。その友人たちが言う言葉が、さりげなく心に残る。

 「オーバーに言うと、生きるための職業。ぼくは生きるためにこの職業を選んだわけです」

 この人は「基本的に仕事はきらいだから」と言って、このように言う。ふと自分のことを思う。生きるための職業がいつの間にか職業が生きる目的になってしまった、ことを。

 「年をとったら楽になるかと思ったら、そんなことないねえ」

 痛く、同感。

 まだ生きているのだから、せいぜい好きなことを勉強しようと思う。

 これは常盤さんが関頑亭に会って励まされ、常盤さんが思ったこと。関頑亭とは山口瞳さんのエッセイに出て来るドスト氏である。
 常盤さんのように、この頃同じように思うことがある。

 年を食っていい本にめぐりあえるのは嬉しい。

 これは常盤さんの言葉。確かに常盤さんのこのエッセイを読んでいると、そう思う。 難しい本は読めないけれど、心が温かくなる本。ちょっと考えさせられる本。涙ぐみたくなる本などの出会えると嬉しい。
 常盤さんの行動範囲というのが、私にひどく身近だ。通っている歯医者も知っているし、岩本町の明石屋という喫茶店も知っている。九段下、平井、浦安と感じがつかめる町だ。交通手段が新宿線、半蔵門線、東西線、とよく使う路線だし。そういう意味で親しみを感じてしまう。
 なんか、常盤さんのエッセイをもう少し読みたくなり、図書館で予約を入れる。

常盤 新平 著 『銀座旅日記』 筑摩書房(2011/03発売)ちくま文庫


by office_kmoto | 2018-02-11 08:36 | 本を思う | Comments(0)

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