〇川本 三郎 著 『ひとり遊びぞ我はまされる』

〇川本 三郎 著 『ひとり遊びぞ我はまされる』_d0331556_18011274.jpg いつもなら、本を読むのに疲れたら、午後のワイドショーをつけて、見るとはなしにして、しばらくして消し、また本を読み出すことを繰り返している。しかし今日は一切テレビをつけなかった。というのも安倍元首相の国葬が放映され、これ一色になっているだろうからだ。
 私はこの人がたとえ凶弾に倒れたとしても、国葬をするに値する人とは思っていない。この人ほど日本国民を分断した人はいないのではないか、と思っているからだ。そして国葬反対が50%を越える状況下で、最後の最後まで国民を分断した。まあ、この人らしい。
 ということで、天気も暑くもなく寒くもなく、上々の天気である午後、窓を開け放ち、楽しみにしていた川本さんの新刊を読む。

 川本さんは「歴史」より「記憶」を求める人で、今そこに居る人たちの話のなかに、かつてあった鉄道、建物、人をここに書き出し、それが読んでいる者には単に日記に収まらない楽しみを教えてくれる。


 『濹東綺譚』の挿絵は荷風の要請ではなく、連載された朝日新聞の判断だったが、東京に生まれ、荷風と同じように失われてゆく古い東京愛した木村荘八は最適だった。実際、荷風の文章もさることながら、木村荘八の挿絵も評判になった。今日、『濹東綺譚』は木村荘八の絵抜きには考えられない。 


 先日図書館に、木村荘八全集が置いてあるのを見て、挿絵の巻を借りて来て拾い読みした。そこに新聞に『濹東綺譚』が掲載されたときに使われた挿絵が載っており、本を返すときに、そのページだけコピーを取った。
 私は復刻版の『濹東綺譚』を持っているが、それにも木村荘八の挿絵があるにはあるのだが・・・・。
 でも川本さんが言うように『濹東綺譚』は木村荘八の挿絵は欠かせないと思っている。
 さて、この本は例によってコロナ禍に書かれた日記で、当然川本さんの行動にもいろいろ制限が加わる。テレビを見る機会も増えた。そこにはコロナの女王と称される岡田晴恵さんのことが書かれていた。川本さんは彼女の説明はわかりやすい、と好感度に捉えている。一方で伊集院静さんは「なんだあの女」と言った感じで非難しているのを思いだし、ちょっとおかしくなった。捉え方は人それぞれなんだな。私は伊集院さん側の人間なのだが・・・・。


川本 三郎 著 『ひとり遊びぞ我はまされる』平凡社(2022/09発売)

by office_kmoto | 2022-09-29 18:02 | Comments(0)

言葉拾い、残夢整理、あれこれ


by office_kmoto