2月1日 水曜日
晴れ。
夫婦二人で浅草寺へ初詣に出掛けた。2月になったのでいくらか人出が少なくなっているかと思いきや、かなりの人出であった。
歩いている人たちの話し声が聞こえてくる。どうやら中国人らしい。それもかなりの人数に思える。中国では春節で大型連休に入っていて、日本に多くの人が来ているのを思い出す。たぶんここにいる人もその流れなんだろう、と察する。
今や彼らの動向も気にしないと、ゆっくり参拝出来ないようになっているようだ。
2月2日 木曜日
晴れ。北風が強い一日。
この「一太郎の2012」で書くのは多分これが最後となると思う。
5年ぶりにバージョンアップをする予定なのだ。
パソコンのソフトで一番使うのがこのワープロソフトなのだが、どうもこのバージョンは頭が悪くなってきているようで、妙な変換をすることが多くなった。それにストレスを感じるようになったので、ここは最新のワープロソフトに入れ替える時期かなと思ったのだ。それが明日発売になる。
昔はパソコンソフトのバージョンアップにはよくつきあって、新しいバージョンが発売になると、お店に買いに行ったものである。会社が秋葉原にあったお陰でパソコン店が近くにあり、その点楽ではあった。
でも今はネットで予約すれば、発売日に家に届くらしい。一太郎のユーザーだから、最新バージョンがユーザー価格で手に入る上に、何だか知らないけれど、クーポンなるものも発行してくれさらに25%引きというので、これは買い換えるには丁度いいや、と思ったのである。
面倒臭い機能は不要だが、せめて日本語変換はストレスなくできればと思っているのだが。
先月図書館で借りて、なんだかんだと忙しくなり貸出期限内で読み切れなかった幸田文さんのエッセイを再延長した。けれど一度“物言い”がついたものは、ペースも完全に乱れてしまったものだから、なかなか読み切れない。それでも意地でも読んでやろう、と思ったが、ダメだ。読むのを諦めることにする。
図書館で年間どれだけ本を借りてくるかわからないが、このように数冊読めない本が出て来る。
幸田さんの本を諦めたので本棚から違う本を取り出す。
手にして読み始めると、なんだか落ち着く。本棚にある本は自分の気に入っている作家の本や読んで残しておきたい本である。一方図書館で借りてくる本はこれまで読んでこなかった傾向の本を借りてきている。もともと図書館通いをしたのは、読む本の幅を広げる意味もあって、これまで読んでこなかった作家の本を読んでみようと思ったのである。それは時に自分にとって新しい作家の発見にもなったが、読んでみて「これは違うな」という感じの本も多数ある。それはそれでできるだけ読もうと思い読んできた。でも時に「これは無理」と投げだしてしまう本も出て来てしまう。
そういうことだから、やはり自分の本棚にある本を手にすると安心する。そう言えば今年になってから、自分の本棚にある本をほとんど読んでいないな、と気づく。
ちょっとこれからは本棚にある本を読もうと思う。
2月3日 金曜日
晴れ。
昨日より風は弱まったが、まだ北風が吹いた。今日は節分なので、昼にスーパーで恵方巻きを買ってくる。1本では大きいのでハーフというやつにする。
ところが我々夫婦は恵方巻きというのをすっかり忘れてしまい、昼食に太巻きを買ってきたみたいに「北北西」に向かわず、もくもくと食べてしまった。
後で二人してそのことに気づき、お互い呆れる始末。
“知人”の遺骨を国に届けるために、持ち運びのバッグを探していた。遺骨を入れるためのバッグというのは適当なものがない。まあ考えてみればそんな需要があるもんじゃないだろうから仕方がない。
で、ふとネットで調べてみようと思い、検索すると、遺骨の持ち運び用の専用バッグというのがあるのだ。これはちょっと驚いた。しかもAmazonで売っている。父にそのバッグの写真を見せ、これはいいということになったので、すぐAmazonに注文する。
本当は今日、一太郎のバージョンアップをしようと思ったのだが、ソフトが宅配便で届いたのが午後の3時頃だったので、バージョンアップは明日にした。それで明日のために一緒に注文したマニュアルを読み、セットアップに必要な最低限のことを頭に入れる。
昔はそんなに慎重にはならなかったものだ。好きなものだから、ソフトを買ってきたら、すぐセットアップした。だいたいセットアップに難しいところはないから、画面の指示通り行えばうまくいく。けれどここのところソフトのインストールやバージョンアップをやっていないので、少々不安になった。
明日はこれをやり、庭の掃除もやり、支払いにコンビニに行き、本屋で本も買いたいのだ。ちょっと忙しくなりそうだ。
佐伯一麦さんの『ピロティ』を読む。
2月4日 土曜日
晴れ。
一太郎をバージョンアップしてみた。
これで読んだ本の文章を打ち込んでみたが、なかなかいいようだ。これをうまく使いこなせるように早くなりたいものである。
駅近くの本屋へ文庫本を三冊購入。Honya Clubのカードを出すと、この店では今月末で使えなくなるという。閉店するらしい。後はリブロが引き継ぐと言う。なんだかよくわからないので貯まっているポイント使う。
だいたいここはよくテナントが変わる。地下鉄の駅前広場の角にあるのだが、最初は本屋で、次がドラッグストアになり、その次は子供連れの母親たちが入れるファミレスになり、そして今の本屋になった。たぶんここの地代はかなり高いのだろうと察する。それでいてここに人が集まるかと言えばそれほどでもないみたいだから、よほど売上ないとやっていけない感じだ。テナントが何度も変わるのもこの辺の事情だろう。まあ、ここに本屋があればいいので、それはそれで一安心というところか。とにかく我が家の近所にはしっかりした本屋がないので、頑張ってほしいところである。
2月5日 日曜日
曇りのち雨。
佐伯一麦さんの『遠き山に日は落ちて』(集英社 2004/10発売 集英社文庫)を読み終える。ここのところ腰を据えてじっくり本を読むことがなかったので、なんとなく気分がいい。
この本は以前読んでいるのだが、佐伯さんの何気ない日常を描く小説が好きで、古本で見つけると買ってくる。その1冊を読んだ。
小説家の斎木と草木染作家の奈穂が蔵王の山麓の古い民家を借りて、そこで民家を修繕しながら、ひと冬過ごす生活ぶりが描かれる。そこには事件が起きるわけではないが、二人の当たり前の日常が淡々と描かれる。二人の当たり前の日常風景が、いつの間にか読んでいる自分も共有しているような感じになり、一緒に流れている感じがしてくるいい小説である。こういうのは好きである。いやむしろこういうのが今の自分にピッタリあっていて、読んでいて心地よい。
面白いもので以前読んだときと同じ文章に惹かれる。
彼等の家には、まだ食器戸棚も茶箪笥もない。斎木が拾ってきて修理して使っているテレビは椅子を台にして置いてある。けれど茶を飲む度に茶筒を眺めていると、ぜいたくな生活をしている気分になった。生活のぬくみのようなものが生まれた。
「来年は、茶筒をしまっておく茶箪笥が買えるといいな」
と風邪声で斎木が言った。
「うん、そうだね」
と奈穂が大きく頷きながら答えた。 茶筒は親しくしている職人さんから工芸品といえるものであった。彼らの生活は質素であるから、茶筒一つでぜいたくな気分になれるし、それを置ける茶箪笥を来年こそ買えればという、ささやかな希望が微笑ましい。思わず「そうなるといいなあ」と思ってしまう。
奈穂が草木染をするようになってから、随分と植物の名前を覚えた。 (略)
もし、名前を知らなかったら、それはたんなる草花であり、木であり、においであり、鳥であるだけで風景の中に埋もれてしまっていることだろう。目の前にあったとしても、特別気に留めないでいることが多いだろう。だが、一度注意して名前を覚え知った、そういうものは決して忘れることなく、風景から浮かび上がって、こちらに飛び込んでくる。
(略)
斎木は、名前を知らないために見過ごしてしまったものが、自分の身の回りだけでもまだまだたくさんあることを想像してみた。
これは本当にそう思う。草木に興味を持つようになるのは、50代、60代を過ぎてからだ、と何かの本に書いてあったけれど、そうかもしれないと思う一方で、若い時はそれだけ余裕がないという証拠だし、そうしなければ生きていけなかった、ということもあろう。だから草木の名前、鳥の名前を覚え、あるいは身近にある自然に心を寄せることができる余裕ができる年齢はそうなるのかもしれない。でも名前一つ覚えるだけでいつもの風景が違った風景になることは間違いない。
2月7日 火曜日
晴れ。北風が強い一日。散歩で新中川に架かる橋を渡っていると、風でからだが何度ももっていかれる。
佐伯一麦さんの『還れぬ家』を読む。
2月9日 木曜日
雨時々みぞれ。雪もちらつく。
星野源さんの『そして生活はつづく』を読む。
2月10日 金曜日
晴れのち曇り。午後三時頃雪もちらつく。
上原善広さんの『発掘狂騒史―「岩宿」から「神の手」まで』を読む。
2月11日 土曜日
曇り。
散歩の途中にあるブックオフが閉店した。散歩をするとき、たまにそこによることが楽しみでもあったので、残念である。
ブックオフの閉店を目の当たりしたのはこれで2軒目である。一軒目はハローワークに通っていた頃で、失業しているという暗い気持ちを引きずるところがあって、その憂さ晴らしにハローワークの近くにあったブックオフで古本を眺めることで気を紛らわしていた。その店が、ちょうど認定が終わる頃閉店した。閉店前、店の在庫を処分するため、値引きセールをやっていて、何冊かそこで本を買った。
そして今度は近所の店の閉店である。ここでは結構本を買ったし、本を処分するのにこの店を使った。
出版不況は鬼子であるブックオフにも影響を与えているのだろう。新刊に売れるものがなければ、それが古本になっても売れるわけがなく、つまらない本ばかり店に並ぶことになる。ブックオフ家電や衣服などにシフトしているのもそんなところがあるんじゃないか、と以前書いた気がする。
佐伯一麦さんの本をここのところ続けて読んだ。そしてその続編をまた読みたくなった。一度は図書館で借りて読んでいるが、その時はわかったような気がしていたけれど、何もわかっていなかったと思うようになった。だから読みたかった。
佐伯さんの本も古本で見かければ買い求めてきたが、今回も古本で探してみようとネットで検索する。そうしたらブックオフオンラインというのがあってそこに在庫があることがわかる。1,500円以上買うと送料無料とあるので、1,500円にするために他の本を求めることにした。どうせ買うならと思い、南木佳士さんの古い単行本を検索するといくつかある。それを加えて合計4冊購入することにした。もちろんブックオフオンラインは初めて利用する。
それが今日届く。届いた本をみてビックリする。どれも新品同様で美本なのだ。いや読まれた形跡がない。それはある程度期待していたところはあった。というのもブックオフは汚い本は売らないからだ。だから買った古本も状態は悪くないはずだと期待していたのである。そして予想通りだった。
近所の店もなくなったことだし、これからはちょっと利用したくなった。
この日録を書く前に星野源さんの読んだ本のことなど書いているのだが、ここまで書いて「リフレッシュナビ」なるものが画面に現れる。「入力時間が長くなっております。10分ほど休息をおすすめします」とある。新しく入れた一太郎だろう。余計なお世話と思いつつ、やっぱり休憩することにする。セブンイレブンで買ってきた豆大福でも食べることにするか。
2月12日 日曜日
晴れ。
昨日今日と月が明るく見える。ここのところ強い風が吹いていることと、空気が乾燥しているため、このように見えるのだろうか?
2月13日 月曜日
晴れ。
佐伯一麦さんの『空にみずうみ』を読む。
2月14日 火曜日
晴れ。
久坂部羊さんの『テロリストの処方』(集英社2017/02発売)を読む。この本、新聞の広告を見て図書館で予約して借りた。発売されてすぐネットで予約したからか、何と私が初めてこの本を手にすることになったようである。まるで本屋で買ってきて本を開くようで、どこか申し訳ない気持ちがしてくる。
話は現代の医療問題を使ったサスペンスだ。高い治療費を払って医療を受ける人と、医療費が払えないで病院に行けない人の格差。それと同時に高額な医療で収入を得る医者とそうでない医者の格差が問題となっている。そこに勝ち組医師を狙ったテロが連続して発生する。現場には「豚ニ死ヲ」の言葉が残されていた。
一方そんな医療の問題を一気に解決しようと全日本医師機構の総裁となった狩野がかなり独裁的な手法で問題となる医師たちを断罪していく。しかし狩野にも脅迫状が届く。狩野の仲間である医事評論家の浜川は、狩野に依頼され、テロへの関与が疑われる狩野や浜川の医大時代の同僚である医師塙の行方を探すことになる。
ところで読んでいてテロの首謀者は狩野の腰巾着である安達だろうな、とすぐわかった。
久坂さんの本は問題のある日本の医療改革のしようとする集団を「ネオ○○○」と称するのは毎度のパターン。政治を扱うのも同じ。少々食傷気味で、またか、と思って読んでいた。
初期の久坂さんのミステリーには怖さがあったが、最近はそれも少なくなっているような気がする。
全日本医師機構の改革が失敗し、また元の木阿弥となった日本医療界を批評する医事評論家の浜川はもてはやされる。彼は“勝ち組の医師”となっていった。
大窓の外を、ゴンドラが移動するのが見えた。妻が言っていた窓の清掃だろう。
書斎の扉を開けると、机の向こうの窓が目に入った。清掃はすんだのか。途中なのか。窓には洗浄フォームが残っている。何か妙だ。
ふと目を凝らし、私は全身の血が逆流するのを感じた。
拭き取られずに窓ガラスに垂れた洗浄フォームは、裏返しの文字でこう読めた。
――豚ニ死ヲ……
最後のここだけがちょっとゾクッとした。
鶴橋風月のお好み焼きを食べた。昔はこんなの一枚ペロッと食べたのだが、今は一枚食べるのがやっととなってしまった。妻も同様で、最後の一口を溜め息を付きながら食べた。
2月15日 水曜日
晴れ。
ここのところ午前中は散歩に出て、午後から仏間の障子を開けて、窓のそばで本を読むのを日課としている。今日も同じようにして伊集院静さんの新刊を読み始める。天気がいいので気持ちよい。横にはお茶と、昨日妻からもらったチョコレートを一つ置いておく。
ブックオフオンラインでいい本を手にしたので、また欲しい古本を買いたくなった。もう本は買わないと言いつつ、これである。でも今は読みたい本が手元にたくさんあるので、とりあえずピックアップするだけにする。そう言えばブックオフオンラインからメールが届いて、 200円OFFのお買い物クーポンプレゼントされていた。ありがたい。次回使おうと思う。